【食品】タイのドリアン農政が岐路に 供給過剰と中国市場でのベトナム台頭が危機深める
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タイのドリアン産業が深刻な構造的危機に直面している。4月29日付のネーション・タイランドが伝えたところによると、2026年産ドリアンの推定生産量は200万トンと前年比33%の急増が見込まれる一方、気候変動による高温乾燥で品質の低い果実の割合が高まり、輸出向け規格品の確保が難しくなっている。
問題の深刻さは数字に表れている。2026年のドリアン生産面積は約140万ライ(約22万4000ヘクタール)と前年比10%増で、過去最大規模となる。生産コストは1キログラム当たり70〜80バーツとされるなか、農家の手取り価格がこれを下回るリスクが高まっている。
最大の輸出市場である中国では、ベトナムの台頭が顕著だ。2025年のベトナムの対中ドリアン輸出は34億4000万ドルに達し、タイの約40億ドルに急迫している。ベトナムは2020年からドリアン市場に参入しており、わずか3年余りで中国市場の40%超を獲得。通年出荷が可能な地理的優位とコスト競争力がこの背景にある。
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官製ライブ販売が農家の反発を招く
農業政策の矛盾も露呈した。スパジー商務相が人気ライブ配信で2等品のドリアンを1個100バーツで販売したことが農家の反発を招いた。タイドリアン協会のパナサック会長は「政府の動きが市場の天井になりかねない」と警戒する。
政府が示す打開策は、中国西部市場への物流多様化、冷凍ドリアンなどの加工品への展開、農家へのEコマース直販研修の3本柱だ。タイの農産物輸出に関わる日系商社・食品加工企業は、タイ産農産物のブランド力と市場競争力の変化を中長期的に見据えた戦略の再考が求められる局面にある。
