【物流】アヌティン首相がランドブリッジの90日再調査を指示、財務相主導で新委員会
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アヌティン首相は5月4日、約1兆バーツ規模のインフラ事業として長年議論されてきたランドブリッジ計画について、90日以内に再調査を実施するよう指示したことを明らかにした。エクニット副首相兼財務相が議長を務める専門委員会が新設され、現在の国際情勢や地政学的変化を踏まえた実現可能性の再検討に着手する。入札は当初2025年中の予定だったが、政治情勢の変化で先送りされてきた経緯がある。
ランドブリッジ構想は、タイ南部のチュムポン県(アンダマン海側)とラノン県(タイ湾側)に大型深海港を建設し、89.35キロの6車線高速道路と鉄道で接続する総事業費約1兆バーツのメガプロジェクトだ。中東紛争に絡むホルムズ海峡の通航問題が浮上したことで、マラッカ海峡を迂回する代替ルートとしての戦略的意義が改めて注目されている。完成すれば輸送コストを15〜20%、輸送日数を4〜5日短縮でき、経済内部収益率(EIRR)は17.38%との試算がある。
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分かれる政財界の評価
アヌティン首相は「以前の調査は当時の世界情勢を前提にしており、エネルギー安全保障や地政学的変化を踏まえた再検討が必要だ」と説明する。ただし元財務相は「貨物の2回積み替えが必要な構造的弱点があり、採算性に疑問がある」と慎重な見方を示す。南部の住民・市民団体の間でも土地収用・環境破壊・生業への影響を懸念する声が根強く、首相府前での座り込みデモを宣言した団体も出ている。
NIDAポールが南部14県の有権者1455人を対象に実施した世論調査では67.22%がプロジェクトを支持したが、半数以上が内容をほとんど理解していないとも回答した。90日以内に示される再調査の結論は、タイへの物流・エネルギー投資を検討する日系企業にとっても注視すべき材料だ。
