【製造】キヤノン、タイ・コラート工場が全生産終了 本拠アユタヤへ生産ライン集約
タイ東北部ナコンラチャシマ県(コラート)にあるキヤノンの工場が、6月12日に最終出荷式を行い、すべての生産を終えた。同工場はキヤノン・ハイテック(タイランド)の第2工場として2013年に開所し、シリントーン王女殿下が開所式に臨席された経緯を持つ。インクジェットプリンターや紙搬送機器などを10年以上にわたり輸出向けに生産し、東北部の電子機器産業を支える拠点でもあった。
アユタヤのハイテク工業団地へ生産統合
同社は2025年9月、世界的な製造業の変化に対応するため生産体制を見直すと発表。ナコンラチャシマ工場の生産ラインは、本拠地であるアユタヤのハイテク工業団地内の工場へ段階的に移管され、今回その作業が完了した。会社側は移転に応じる従業員の雇用を継続する方針を示しており、大規模な人員削減を伴う閉鎖ではない点が特徴だ。
工業団地とは、製造業の企業が集まって工場を建てるために整備された区域のことで、電気・水道・物流などの設備があらかじめ整っている。タイには日系企業向けの工業団地が数多く立地しており、コラートのような地方都市でも、長年にわたって地域の雇用を支える存在となってきた。
今回の動きは個別企業による効率化という側面が強いものの、タイで事業を行う日系企業にとっては、生産拠点の集約や再編が今後も進みうることを示す事例といえよう。実際、ジェトロ(日本貿易振興機構)の最新調査によると、2026年上半期のタイ事業に対する景況感は前期から改善し、回答企業の23%が工場や機械への投資を増やすと答えている。タイには現在も6000社を超える日系企業が拠点を構えており、自動車・電子・化学分野を中心に、拠点の組み替えを伴いながらも投資意欲そのものは底堅さを保っている。今後、地方の生産拠点をどう位置づけるかは、各社にとって重要な経営判断の一つとなりそうだ。
