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【政治】タイ首相がカザン入り、ASEAN首脳会議でエネルギーと輸出拡大をめぐり交渉へ

アヌティン首相兼内相は6月16日の閣議終了後、ロシア南部の都市カザンへ出発した。ASEAN・ロシア対話関係樹立35周年を記念する「ASEAN・ロシア記念首脳会議」(6月17〜18日)に出席するためで、プーチン大統領との個別会談も予定。エネルギー・貿易・投資の3本柱で具体的な成果を狙う訪露となる。

タイ政府が最も期待を寄せるのはエネルギー調達の多角化だ。中東情勢の不安定化に伴う原油・燃料価格の高止まりを受け、ロシアを代替供給源として強く意識する。ロシアはサウジアラビア、UAEと並ぶ世界有数の産油・産ガス国であり、首相は出発前に「エネルギー問題も含むあらゆる議題を取り上げる」と明言した。プーチン大統領との個別会談では農業・工業製品・食品・電子機器などタイ産品の輸出拡大やロシアからの発注増加も交渉される見通しで、科学技術・イノベーション分野での協力拡大も議題に上がる。

制裁の壁が貿易回復を阻む

ただし足元の二国間貿易は深刻な低迷が続いている。2026年1〜4月の貿易総額は172億バーツと前年同期比24.6%減少し、タイの対露輸出は78億5000万バーツと同40.1%もの急減に見舞われ、タイは再び貿易赤字(15億1000万バーツ)に転落した。ウクライナ侵攻前の2021年には873億バーツ規模あった二国間貿易が、2025年には578億バーツにまで落ち込んでいる。

最大の障壁は欧米が課した金融制裁だ。ロシアの主要銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出されたことで、決済手段が著しく限られた状態が続く。タイ工業連盟(FTI)名誉会長のクリエンクライ氏は「支払い問題が大きな障害になっている」と指摘。外務省も「大型の二国間貿易協定締結は想定していない」と慎重な姿勢を示す。

首脳会議に合わせてカザンでは「ASEAN・ロシア民間経済フォーラム」も併催される。農業・製造業・観光・合弁事業など幅広い分野の商談が見込まれており、今回の訪露が外交的な言葉を超えた具体的成果に結びつくかが注目されるところだ。

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