【エネルギー】タイ閣議、次期エネルギー省事務次官にチャンタノン氏起用の人事案を正式承認
タイ内閣は、ピパット副首相兼運輸相が議長を務めた閣議で、首相府のアドバイザーを務めるチャンタノン・ワンナケジョン氏を次期エネルギー省事務次官に任命する人事を正式に承認した。同氏は行政経験が豊富で、農林水産や産業政策にも深い知見を持ち、次期事務次官としてタイのエネルギー転換政策の推進や国家エネルギー計画(PEP2024、再生可能エネルギー拡大などを盛り込んだタイ政府の長期エネルギー戦略)の実行を指揮する。
タイ政府は2050年までのカーボンニュートラル、2065年までの温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)を目標に掲げており、再生可能エネルギーの発電比率引き上げや電力市場改革、企業が発電事業者と直接契約して再エネ電力を調達する仕組み「Direct PPA」の制度化と規制緩和が急務となっている。今回の人事により、エネルギー行政の透明性向上や電力料金体系の見直しに向けた政策推進力が強まると期待されている。
タイ国内で大規模な工場や事業所を運営し、脱炭素化(GX)投資や再生可能エネルギー電力の調達を進める日系製造業やエネルギー関連企業にとって、今回の幹部人事は今後の電力政策の方向性や規制緩和の速度を左右することになる。再エネ電力証書(REC、再エネ由来の電力であることを証明する仕組み)の取引市場整備や、屋根置き太陽光発電を電力網に接続する際の規制緩和がどこまで進むかが焦点だ。
日系企業は新事務次官の下で策定される省令やマスタープランの内容を早期に把握し、タイ拠点の脱炭素ロードマップや投資対効果の見直しを速やかに進めるべきだ。官民対話の場を通じて日系業界団体として政策提言を行い、産業界の要望をエネルギー省に伝えていくことも欠かせない。電力系統の安定に向けた技術協力や、送電技術の効率化に関する提案も今後期待される分野だ。
