【政治】上院議員229人巻き込む選挙不正疑惑 タイ選管が「28日採決」との報道否定

タイ選挙管理委員会(中央選管)は8月25日、上院議員選出をめぐる不正疑惑について、今月28日に採決を行うとの一部報道は事実でないと発表した。中央選管は同疑惑を慎重に審査している段階であり、選挙の信頼性を守るため法にのっとり公正に進めると説明した。
この疑惑は2024年に実施された上院議員の選出過程で、特定候補への投票を組織的に誘導する「談合」が行われたとされるものだ。約570件の申し立てが中央選管に寄せられ、2025年5月ごろから関係者への出頭要請が行われている。
特別調査委員会が数か月かけて証人聴取や通話記録、資金の流れなどを調べ、9万ページを超える報告書を2025年7月にまとめた結果、現職上院議員138人を含む229人について立件するだけの根拠があると判断。その後、中央選管へ送付している。対象には政権与党であるタイ威信党の関係者も含まれ、アヌティン首相自身の名前も挙がっている点が、この疑惑を一段と重くしている。
タイの上院は法案審議や重要人事への同意など一定の権限を持つため、多数の議員が失職すれば国会運営や政策実行のスピードに影響しかねない。中央選管が違反ありと判断すれば、案件は最高裁政治犯罪部に送られ、そこで最終的な判断が下される。折しも8月26日には緊急借入令をめぐる国会審議も予定されており、政局は複数の火種を抱える状況だ。世論調査機関NIDAダポールが8月に実施した調査では、回答者の37.86%が「政権はこうした問題を乗り切れない」と答えており、政権基盤の弱さもうかがえる結果になった。
タイに進出する日系企業にとっても、上院議員の去就や政権の安定性は、投資優遇策や各種規制の継続性に直結する問題。日本本社への報告や中長期の事業計画づくりのためにも、政策の連続性を見極めるうえで、今後の中央選管の判断時期には引き続き注意を払いたい。
