【IT】タイ商務省がAIで農産物の出荷を予測、新システム「収穫間近」を米作に導入

タイ商務省は、AI(人工知能)を使って農産物の出荷量や価格を前もって予測する新システム「ガイ・ゲップギアオ(収穫間近)」の運用を始めた。商務省貿易政策戦略局(TPSO)が9月30日にアプリとして正式に公開したもので、農業協同組合省、高等教育科学研究イノベーション省、デジタル経済社会省との4省共同事業となる。まずは雨季に作るコメ(ナーピー米)で試し、ほかの農産物に順次広げる計画だ。
タイでは、収穫が一時期に集中して価格が急落したり、生産量が市場の需要と合わなかったりする問題が繰り返されてきた。政府の支援が後手に回る場面も少なくない。TPSOのナンタポン局長は、データが無いのではなく、複数の省庁にばらばらに保管されていることが課題と指摘する。新システムは作付けの登録情報と衛星画像を組み合わせ、いつ、どこで、どれだけ収穫されるかを予測。そのうえで地域ごとの価格の動きと照らし合わせ、値崩れの危険が高い場所を洗い出す仕組みだ。収穫量が多くても、買い手や販売ルートが十分にある地域は問題になりにくいためである。警報機能も備える。
大きな特徴は、危険な地域を「タムボン」と呼ばれる郡より小さい行政区の単位で示せる点にある。これにより、全国一律の対策ではなく、地域の事情に合わせた支援を早めに打つことができる。各県の商務事務所は自分の地域の状況を確認し、実施した対策の結果をシステムに報告。中央の幹部は全体像を見ながら、追加の指示が必要かを判断できる。農業関係の部署も、同じデータを使って生産状況を追う。
ナーピー米(雨期作米)は年末にかけて順次出回る時期を迎える。商務省は将来、生産から加工、販売までの流れ全体の底上げにデータを生かす考えだ。コメを原料とする食品メーカーや輸出業者にとっては、調達量と価格の見通しを立てる手がかりとなりそうだ。
