【社会】社会保障予算が2031年に赤字へ NESDC試算 高齢化で年金・医療費急増

国家経済社会開発評議会(NESDC)は、社会保障予算と財政リスクに関する最新の報告書で、構造改革を行わなければタイの社会保障制度全体の収支が2031年に赤字に転落するとの試算を示した。超高齢社会への移行と、国の補助金への過度な依存が主な原因という。
社会保障の支出は2012年の6100億バーツから2024年には1兆4000億バーツとなり、年平均7.3%のペースで増加。支出が国内総生産(GDP)に占める割合も、4.96%から7.50%に上昇している。支出の内訳は、退職・死亡給付が41.29%、医療が32.64%と、高齢化に直結する2分野で全体の4分の3近くを占める。
一方、収入は同じ期間に7300億バーツから1兆5700億バーツへと年平均6.6%しか伸びていない。収入の78.6%を国の補助金や拠出金が支えており、加入者と雇用主の保険料は13.6%に過ぎない。
人口の変化も重荷となる。60歳以上の割合は2023年に20.17%に達しており、2034年には28.09%の超高齢社会を迎える見通しだ。15〜59歳の働き手世代の割合は、2040年までに67.00%から55.83%に下がる。公的債務は2026年5月時点でGDP比66.8%と、上限の70%に近づいている。
NESDCは対策として4つの改革を提言。具体的には、「基礎的な保障は国が担い、職域年金や個人の貯蓄を組み合わせる多層型の年金制度」、「病気ごとの定額払いなどによる医療費の抑制」、「非正規労働者やギグワーカー、自営業者の保険加入の拡大」、「所得や納税の記録と連動した給付管理システムの整備」だ。
加入者の拡大や保険料の見直しが進めば、雇用主である企業の負担が増す可能性もある。日系企業にとっても、社会保険料の動向は人件費を左右する要素として注視が必要だ。
