【製造】タイ全国の廃棄物処理工場3000カ所を点検 政府が資金追跡と資産没収へ

タイの天然資源環境省と工業省は、産業廃棄物の不法処理が疑われる工場の取り締まりを厳格化することにした。工業省によると、廃棄物の分別・処理を行う「105類・106類」の許可工場は全国で約3000カ所。全県の工業事務所に対し、内務省や警察、地方の環境事務所と連携して立ち入り検査を急ぐよう指示した。
きっかけは東部プラチンブリ県の問題だ。洪水のさなかに工場から油が流れ出たとして住民の苦情が相次ぎ、19日の現地視察では、許可なく電子廃棄物をリサイクルしていた工場から1200トンを超える廃棄物が見つかった。この工場は国有保安林を侵して建てられた疑いもあるという。
スチャート天然資源環境相は20日、「こうした業者には宣戦布告する」と強い姿勢を示した。汚染管理局が問題の工場から半径1キロ以内を調べたところ、油に由来する物質が大量に検出され、警察に告発したという。アヌティン首相も19日に関係閣僚を集め、省庁の垣根を越えて対応するよう指示している。
捜査の手法も変わる。マネーロンダリング対策局(AMLO)が資金の流れを洗い出して資産没収を目指すほか、特別捜査局(DSI)に特別事件として扱うよう求める方針だ。ワラウット工業相は、関与した外国人の身分証の取得経緯にも疑問があると指摘。株式を他人名義で持たせる「名義借り(ノミニー)」の調査や、プラスチックくずの輸入制限も検討する。
日系企業にとっても無関係な話ではない。スチャート氏は、工業団地内は法律で管理されている一方、団地外の工場には法を犯しているケースが少なくないと指摘。廃棄物の処理を外部に委託する工場は、委託先が正規の許可を持っているかを改めて確かめる必要がありそうだ。違反を繰り返す工場の許可取り消しも議論されており、法改正による罰則強化も視野に入る。なお、ワラウット工業相は、許可の取得前に操業を始めることは絶対に認めないと警告している。
