【物流】タイの貿易・物流ハブ化を後押しする東部・南部経済回廊プロジェクト
タイは東南アジアの中心に位置し、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接する。この地理的な優位性により地域内の貿易や物流の重要な拠点としての役割を果たしている。タイは現在、道路・鉄道・港湾・空港などの交通インフラの改善に多大な投資を継続。特に注目すべきは、レムチャバン港と東部経済回廊(EEC)における進捗情報だ。
EECの肝である高速鉄道建設
2018年にスタートした東部経済回廊(EEC)プロジェクトは、数十億バーツ規模の外国投資を引き寄せ、タイ投資の30%以上を占めるようになった。そして、このプロジェクトの中心となるのが、ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオを結ぶ高速鉄道建設である。この鉄道は、バンコク都市圏の大規模交通ネットワークの一部であり、中国・昆明とシンガポールを結ぶ東部経路にも組み込まれている。
鉄道は全長約220㌔で、時速250㌔で走行する予定。これにより、バンコク都心マッカサン駅からウタパオ空港までの所要時間が2時間以上から45分に短縮される見込みだ。同プロジェクトはタイ東部の経済発展を加速させる重要な取り組みとなる。
さらに、EECイノベーション回廊は、クリーン自動車製造、スマートエレクトロニクス、バイオ農業といった産業にも焦点を当てており、地域の経済成長や技術革新を加速する。
陸橋プロジェクト
タイはさらに、約90〜100㌔にわたる陸橋プロジェクトの計画を進めている。同プロジェクトは、アンダマン海のラノン港とタイ湾のチュムポン港を結び、南部経済回廊(SEC)の輸送ルートとなる。これにより、マラッカ海峡での渋滞を軽減し、物流コストを削減することが期待される。
プロジェクトは、約1兆バーツの投資規模を誇り、船便の所要時間を最大4日短縮し、物流コストを約15%削減する見込み。これにより、タイは東南アジアの貿易ハブとしての地位をさらに強化できる。
貿易と物流のハブ目指すタイ
タイの地理的優位性と充実した物流インフラは、同国がASEAN地域およびその先をつなぐ貿易・物流ハブとしての役割をさらに拡大させる。特に、SECやEECの開発推進により、タイはアジア全体での経済活動を活性化させるための重要な拠点となる。 タイ商務省国際貿易振興局(DITP)は、タイを中心とする貿易や物流の発展を支援するために、TILOG-LOGISTIXなどのイベントを開催し、国際競争力の向上を目指す物流業者に知識や技術を提供している。
