【車両】BYDがタイから欧州へEV輸出開始 EV3.0制度対応と生産拡大
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中国EV大手・BYDは、タイ・ラヨーン県の工業団地に建設した工場で生産された電気自動車「ドルフィン」を初めて欧州市場向けに出荷した。第1弾は約12カ国を対象とする計959台。ドイツやベルギー、オランダが主要輸出先となる。
同工場は2024年7月に稼働を開始。年間生産能力は最大15万台に達する計画だ。現在、6100人規模の雇用を創出しており、将来的には1万人規模に拡大する方針。
当初、タイ工場は右ハンドル車を中心にタイ国内やASEAN市場向けに生産する予定だったが、今回の輸出開始に当たり左ハンドル車の生産にも踏み込み、世界展開の拠点色を強めた。
一方、タイ政府が推進するEV産業振興策の第三段階「EV3.0」制度(2024〜2025年)は、輸入車と国産車のバランス確保を目的としたもの。輸入1台につき1台の現地生産が義務づけられ、2025年には1.5台分の比率に強化される。ただし、このスキームで生産されるEVはタイ国内販売だけでは消化しきれないため、7月末、輸出1台を国内販売1.5台分とみなすことが決まり、過剰在庫の回避につながることが期待されている。BYD幹部は「輸出が認められなければ国内市場での競争が過熱し、構造的な歪みを生じたはずだ」とコメントした。
