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【製造】中国家電5社のタイ攻勢が本格化 製造増強と高級路線で輸出拡大狙う 

タイの家電市場で中国大手の攻勢が強まっている。タイでは品質や意匠、先端機能を求める需要が強まっており、そのため「低価格」だけでなく高付加価値で勝負する構図が鮮明化。ハイアール、TCL、ミデア、ハイセンス、長虹のいわゆる中国大手5社が、製造と販売の両面で布陣を強め、ASEANのハブとして輸出も睨む。

中国白物家電最大手ハイアールは1984年の創業後、品質最優先の改革で再建し、いまや企業価値は1兆1000億バーツ規模に達する。タイでは2024年末に東部チョンブリ県で空調新工場の建設に着手。工場用地は32万4000㎡、生産能力は年間600万台を想定し、3000人規模の新規雇用を見込む。投資額は100億バーツ超で、プラチンブリ県の冷蔵庫工場を補完する。販売では「Haier Thailand Training Center」を設け、設置・保守まで含めたサービス力を高める。洗濯機でも攻勢を強め、今年1~3月の売上高は35億バーツとなり、前年同期比27%増を記録。年末までにタイでの市場シェアを15%へと引き上げる方針だ。

映像機器・家電大手TCLはプレミアムTVに本格参入する。世界では24年にTV出荷が2900万台、うちMini LEDは前年比194%増と伸長。タイでは25年に30万台販売とシェア拡大を狙い、スポーツを軸にブランド露出を高める。 空調・家電大手ミデアは東部ラヨーン県に空調新工場を建設し、投資額は22億バーツ。生産の9割を米国向けとし、25年に空調・家電の売上を前年比200%増とする野心的な計画を掲げる。

TV大手ハイセンスは25年上期のタイ売上が20%増、洗濯機は61%増と勢いが止まらない。超大画面では116インチ機を投入し、世界出荷は22~24年で累計2910万台、世界シェアは14%に達した。100インチ級では約60%のシェアを握る。

中国家電中堅の長虹はプレミアムブランド「CHiQ」を前面に出す。オンライン販売で10万台超を売り、ホームセンター大手グローバルハウスと組んで冷蔵庫やTV、ミニバーを拡販する。価格帯は2590~2万9500バーツと幅広く、デザインと機能を両立させる戦略である。

5社の積極投資は、タイの機電産業の供給網を取り込み、タイ投資委員会(BOI)の投資恩典や自由貿易協定(FTA)を生かして輸出拡大を図る狙いのようだ。為替・関税環境は不確実だが、現地生産と高級化の両輪で収益性を押し上げる方針だ。

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