【商業】タイ当局 巨大EC規制強化へ 小売業保護に本腰
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タイ貿易競争委員会(TCCT)は、EC大手による独占的行為や不公正取引を規制する新ルールを導入する方針だ。物流の囲い込みや高額手数料、データ乱用などが問題視され、2025年10月にも施行される見込みとなっている。
同委員会は、これまでの事後規制では市場寡占を防げないと判断し、事前規制の必要性を強調した。違反した場合は競争法に基づく刑事罰が科される。
小売業者の苦境
タイ電子商取引協会のパウット顧問は「ShopeeやLazada、TikTok Shopなど外資系プラットフォームが市場を支配し、小規模事業者は赤字販売を余儀なくされている」と警告した。Shopeeは年売上857億バーツ、利益54億バーツを記録。だが出店者は15~25%の手数料を負担し、利益率は10%未満となっている。
さらに中国製の安価な無税商品が大量に流入し、タイ製品を圧迫。物流も特定業者の利用を強制しており、TikTok Shopは出店者にJ&T Expressのみを使わせていると批判されている。
草案では、①不当な手数料徴収、②特定物流の強制、③低価格キャンペーンへの強制参加、④出店者データの濫用などを禁止する。アルゴリズムの透明化や物流選択肢の確保も義務付ける方針だ。
小売業者が3社以上の物流業者を自由に選べる仕組みを整えることや、手数料の上限設定を検討すべきとの提言も出ている。
当局はこれを初の本格的な規制適用と位置づけており、国際基準に沿った公正な市場形成を目指している。
