【車両】タイ工業連盟が今年の生産目標を145万台で維持 新政権の対話姿勢評価
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タイ工業連盟(FTI)は、2025年の国内自動車生産目標である145万台を据え置くことにした。内訳は国内販売向け50万台、輸出向け95万台としており、新政権の景気刺激で購買力が戻るとの見方を示した。
FTI自動車部会のスラポン副会長は、アヌティン新政権が打ち出す産業・商業・金融分野の対話が前向きに働き、消費者と企業の信頼を回復させると期待を表明。政策の実装スピードと部品サプライヤーの稼働率回復が伴えば、内需と輸出の両輪が回り、年度目標の達成確度は保てるとした。
その一方で、EVシフトに合わせた規格や税制、充電網の運用コスト、貿易相手国の規制対応など課題はなお多い。FTAルールの活用、現地調達の最適化、価格ヘッジの拡充で、短期の収益ブレを抑えながら移行の谷を越える必要があるという。また、輸出の足元の弱さは、規制対応コストの上昇だけでなく、相手国の在庫圧力や通関リードタイムの長期化も影響する。FTIは、政府に対し、排ガス・安全基準の相互承認の拡大、試験・認証の手続き迅速化、部材の原産地証明のデジタル化を訴える。
販売面では、信用供与の柔軟化と与信の健全化を両立させるガイドラインの整備が欠かせない。また、EV移行に合わせ、電池リユースやリサイクルの制度設計を前倒しし、総所有コストを下げることが重要。充電網の運用料金や時間帯別料金の工夫、商業施設・集合住宅での設備整備は、消費者の受容性を高める効果がある。輸出主力であるピックアップの競争力維持には、軽量化、燃費・排ガス性能の改善、先進安全機能の標準搭載が鍵となる。同時に、サプライヤーの投資余力を確保するため、税制や設備更新支援をパッケージ化することも必要だ。
