【貿易】米関税引き上げで8月のタイ輸出が減速 ASEAN域内向けは比較的堅調
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タイ商務省が9月下旬に発表した通関統計によると、2025年8月の輸出額は前年同月比で減速し、予測を下回った。特に米国向け輸出が関税引き上げの影響を受け、繊維製品や電子部品、自動車部品など主要品目で落ち込んだ。
総輸出額は約240億ドルで前年同月比マイナス6%となり、7月のマイナス3%からさらに減少幅が拡大した。米国向けはマイナス12%の減少で、中国向けも低迷が続いた。ただ、ASEAN域内向けは比較的堅調で、ベトナムやインドネシア向けの食品関連が伸びたが、全体を押し上げるには不十分であった。
一方、自動車部品輸出は前年同月比マイナス15%、半導体関連は10%の減少となった。米国市場での需要停滞が響いている。衣料品や繊維製品も関税上昇により競争力を失い、受注が減少した。
タイ商務省は関税交渉を含む外交努力を強化する方針を示すとともに、輸出先の多角化を推進するとした。インドや中東市場での販路拡大を進め、特にハラル食品の輸出を成長分野と位置づけている。
タイ中央銀行(BOT)は2025年9月の報告で、輸出低迷により第3四半期の成長率が0.3~0.4ポイント押し下げられる可能性を指摘。ただ、観光収入の回復が内需を下支えし、通年成長は2.5~3.0%の範囲に収まる見通しを示した。
