【経済】米利下げ観測と不安定情勢受けタイ国内金価格が史上最高値を更新

9月30日、タイ国内の金価格は大幅に上昇し、史上最高値を更新した。タイ金商協会の発表によると、同日午前9時7分(タイ時間)の取引開始時点で金価格は1バーツあたり650バーツ上昇し、金地金の販売価格は5万8850バーツ、装飾品は5万9650バーツとなった。その後も価格は上昇を続け、午前10時17分には3度目の上昇が確認され、金地金は5万8950バーツ、装飾品は5万9750バーツに達した。
同協会は、国際市場における金のスポット価格が連日過去最高を更新していることについて、その背景には米国連邦準備制度理事会(FRB)が10月と12月に追加利下げを行うとの期待があると分析している。すでに9月中旬の会合で利下げが決定され、インフレ指標である8月のPCE物価指数が予想通りの内容だったことから、市場は金融緩和が続くと見込んでいる。
また、米国では連邦政府機関が予算合意に至らず一時閉鎖される懸念が高まっており、これに地政学的な緊張も加わっている。こうした不安要素が「安全資産」としての金への買いを一層強めている。前日の国際先物市場では金価格が1オンスあたり3855.20ドルで引け、現物価格も3849ドルに達するなど、いずれも過去最高を更新した。
タイ国内では9月末時点で1バーツ金の価格が5万8350バーツを突破し、これまでの最高水準を塗り替えた。特筆すべきは、前日だけで価格改定が22回行われ、そのうち14回が最高値更新であった点だ。さらに14回のうち13回は連続で新高値を記録し、市場の過熱ぶりが浮き彫りとなった。
金価格の急騰は、国内投資家の行動にも影響を与えている。バーツが32.29バーツ/ドルとやや軟調に推移していることも、国内の金価格上昇を後押ししている。タイ財務省によれば、2025年のバーツ相場は外需や米金利政策に大きく左右される見通しであり、金市場は今後も激しい変動が続く可能性が高い。
専門家は「金価格の短期的な変動は大きいが、米国の金融政策や世界経済の不確実性が残る限り、安全資産としての需要は維持される」と指摘する。タイ証券取引所では金関連株の出来高が急増しており、一般投資家の関心の高さを裏付けている。
