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【車両】中国EVがタイ市場席巻 価格競争力で日本勢を逆転するも定着するかは未知数

市場調査会社イプソスは、最新レポート「Thailand Auto Trend-The Rise of Pure Electric Cars」を発表し、中国製EVがタイ市場で急速に存在感を高めていると指摘した。最大の要因は「価格」であり、消費者の57%が購入動機として価格を最重視すると回答。続いて環境配慮(51%)、先進技術(49%)、快適な運転体験(41%)が挙げられた。

2025年のバンコク国際モーターショーでは、中国BYDが1万353台の予約を獲得し、トヨタ(9615台)、ホンダ(5948台)を抑えて首位となった。従来はトヨタ、ホンダ、いすゞが上位を独占してきたため、中国ブランドが初めて日本勢を逆転した形だ。

四半期の統計では、2025年第1四半期のxEV(BEV・PHEV・HEV)販売台数は6万7000台で、前年同期比で7%増加した。自動車全体に占める比率は40.2%に達し、その中でもHEVが市場の62%を占める。消費者の次回購入希望車種はEVが33%、ハイブリッド32%、ガソリン車28%であり、若年層ほどEV志向が強いようだ。

消費者心理と残る課題

しかしタイ人消費者の60%は「航続距離やバッテリー性能」に不安を抱えており、安全性(54%)、保有コスト(51%)、充電インフラ不足(50%)も懸念材料として挙がった。また、中古市場での再販価格が不安定であることも購入意欲を抑制する一因となっている。

それでも、EVの快適性や静粛性は従来のガソリン車を上回るとする多くのユーザーから「運転が滑らかで静か」との評価を受けているという。以前は200万バーツ級の高級車にしか搭載されなかった先進安全機能も、現在ではEVの標準装備となり、価格に対する価値の高まりをみせている。

なお、イプソスは「中国ブランドの台頭は日本メーカーにとって大きな挑戦であるが、信頼性やブランド力では依然として優位を保っている」と分析。タイ市場は多様性が特徴であり、小型車からピックアップまで幅広い需要がある。その中で中国ブランドは低価格と技術力を武器に浸透を図るが、長期的に定着できるかは未知数。競争が激化するなか、消費者の選択は今後の市場勢力図を左右することになる。日本勢が消費者の声を反映しつつEV戦略を強化できるかどうかが市場シェア回復の鍵となりそうだ。

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