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【運輸】バンコク都市鉄道2線 10月1日から「20バーツ均一料金」を廃止

10月1日からバンコク都市鉄道のレッドライン(ランシット=タリンチャン)およびパープルライン(バンパイ=タオプン)で実施されていた「20バーツ均一運賃」が廃止され、従来通り距離別運賃に戻される。運賃はレッドラインが12〜42バーツ、パープルラインが14〜42バーツとなり、昨年10月に導入された均一料金制度はわ1年で終了することとなった。

レッドラインはバンコク都心の「クルンテープ・アピワット中央駅」から郊外ランシットやタリンチャンを結ぶ通勤鉄道で、総延長は41キロに及ぶ。一方、パープルラインはバンコク北西部を走り、都市部と郊外住宅地を結ぶ。両線はこれまで政府の物価対策の一環として「20バーツ均一運賃」が導入され、利用者から歓迎されていた。

均一運賃は2023年10月、前タイ貢献党政権が生活費軽減を目的に導入した。レッドラインでは通常12〜42バーツの区間運賃を一律20バーツに抑え、パープルラインも同様に14〜42バーツの区間運賃を20バーツに固定していた。この措置により郊外からの通勤客の負担は大幅に軽減され、導入初期には乗客数が2割以上増加した。

しかし、運営会社である国鉄関連企業およびバンコク大量輸送公社(MRTA)は、収入減による経営圧迫を理由に制度の継続が難しいと判断した。ピパット副首相兼運輸相は「20バーツ均一は一時的な政策であり、今後は距離に応じた合理的な料金体系に戻す」と説明。ただし「他路線も含め、長期的に国民負担をどう軽減するかを検討する」と述べ、今後の支援策を示唆した。なお、タイ運輸省によれば、2024年度の鉄道部門赤字は数十億バーツ規模に達しており、補助金頼みの料金政策は持続不可能とのことだ。

一方、物価高や家計債務増加が市民生活を圧迫する中での値上げ回帰には批判の声も強い。タイ国家経済社会開発評議会(NESDC)は「輸送コスト上昇は都市部の生活費に直結し、消費の回復を妨げる可能性がある」と警鐘を鳴らす。今後、バンコク都市鉄道の運賃体系は国民の生活支援と財政健全化のはざまで難しい判断が求められることになりそうだ。

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