【不動産】プーケット新築別荘市場が急減速 中古物件が台頭しシェア63%に

プーケットの高級不動産市場に大きな転換が起きている。かつて新築別荘は建設前に売り切れる勢いで、外国人投資家の旺盛な購買力に支えられて価格は上昇を続けていた。しかし2025年に入り、市場の様相は一変した。
タイ不動産情報センター(REIC)の統計によると、2025年上半期に供給された新規別荘は298戸と前年同期比で74%減少。販売戸数も231戸にとどまり、7割を超える減少となった。未販売物件は1908戸、総額737億バーツに達し、消化率は月5.5%から1.8%へと急低下。このままの販売ペースでは在庫解消に4年以上かかるとみられている。
プーケット不動産協会のメタポン会長は「新型コロナ期に過剰に計画されたプロジェクトが一気に供給され、市場バランスを崩した」と指摘する。当時は富裕層移住ブームが続くと見込まれ、1000万~4000万バーツ帯の高級ヴィラが相次いで建設されたが、需要の鈍化と中国人観光客の減少が重なり、販売は停滞している。
エリア別にみると、テープカサットリ地区では924戸が売れ残り、在庫解消に5年以上を要する見通し。カマラ地区は依然として吸収率6.8%と健闘しており、9カ月で売り切れる可能性がある。一方、バンタオ・スリン地区では4000万バーツ超の物件が過剰供給となり、在庫処理には6年以上かかる可能性が高い。最も深刻なのはラワイ地区で、2000万~4000万バーツ帯の物件は20年以上売れ残るとの試算が出ている。
主役は新築から中古へ
こうした新築市場の停滞とは対照的に、中古物件市場は急成長しており、市場シェアの63%を占めるに至った。価格が新築の半分程度に抑えられるうえ、面積の広い物件が多いため、投資家や実需層の支持を集めている。例えば同一地域のコンドミニアムでは、新築の平均単価が平米12万1000バーツであるのに対し、中古は6万8000バーツと約半額である。
業界筋は「ラグジュアリー市場は必ずしも消滅したわけではないが、価格戦略とターゲット層の見直しが急務」と警鐘を鳴らす。今後は、富裕層外国人だけでなく、長期投資を視野に入れるタイ人投資家層への訴求も重要になっている。
プーケット不動産市場は崩壊したわけではないが、主役は新築から中古へと移っているようだ。
