【商業】タイ若年層の7割がブランド離れ 節約志向鮮明に 健康・美容分野に関心
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タイのZ世代(おおむね15歳~30歳)は消費意欲が強い一方、家計の制約志向から70%以上が食料・飲料・日用品をより安価なブランドへ乗り換えていることが、マーケティング会社VMLタイランドの調査で明らかになった。タイ英字紙「バンコクポスト」WEB版が伝えた。
同社は、世界4万5000人超を対象とした国際調査のデータを基に、タイ人の消費行動・心理を分析した。その結果、支出意欲は旺盛だが実際の購買力は限定的であり、多くが安価な製品を選んでいることが分かった。さらに約半数は将来のために貯蓄や投資を行っており、このため、各ブランドは収益機会を35〜55%減少させていると結論付けた。
また、世代別では、X世代(45歳~60歳前後)や団塊世代(おおむね75歳~78歳)は比較的余裕があり、健康関連商品や体験消費への支出を重視。これに対しZ世代は外見維持やアンチエイジングに強い関心を抱き、健康・美容分野での支出を投資と捉える傾向がある。
また、調査ではデジタル疲れの広がりも示された。タイ国民の9割以上が常時ネットに接続している一方、71%が「技術疲労」を感じ、38%がリアルな活動による心身回復を求めていることが分かった。ただし、テクノロジーを人間関係や機会拡大に不可欠とする声は根強い。
消費者はブランドに対して「信頼性」「真実性」を求める一方で、73%がエンタメ性や「ワオ」要素も期待する。偽情報拡散が社会問題化する中、8割以上が信頼できるブランドを選びたいと回答した。
VMLタイランドのパラッタジャリヤCEOは「ブランド認知が高くても購買への転換や顧客維持は難しい。深い結びつきを作れる企業が優位に立つ」と指摘。企業にとっては消費者心理の複雑さを理解し、長期的な信頼関係を築くことが成長の鍵となる。
