【貿易】タイ輸出、2025年通年で5%成長見通しも懸念されるバーツ高
広告
タイ国輸出業者協会(TNSC)のタナコン会長は、2025年1〜8月の輸出額が2231億8000万ドルで前年同期比13.3%増になったと発表した。石油関連・金・軍需品を除いても4.7%増を維持し、幅広い回復を示した。
輸入は2248億8000万ドルで11.3%増、貿易赤字は17億ドル。第4四半期は一部分野で減速が見込まれるが、通年では5%成長を確保できるとした。自動車部品や電気電子製品が牽引する一方、衣料品やゴム製品は縮小傾向にある。
バーツ高と労働法案リスク
ただし課題も多い。2025年9月時点でバーツは年初から5.31%上昇し、ベトナムドンが約3%下落したのと対照的に輸出競争力を削いでいる。会長は「金輸出の異常増加が資金流入を歪めている可能性があり、グレー経済の一端かもしれない」と警告。タイ中銀に調査を要請した。
さらに、労働保護法改正案が成立すれば企業コストが最大16%上昇するとの試算も示され、TNSCは下院議長に慎重な対応を求めている。
今後の課題としてTNSCは、バーツ安定化、SMEの資金調達支援、港湾混雑の解消、輸出特権の乱用防止など7項目を政府に提言。為替レートは1ドル=33〜34バーツが望ましいと強調した。
2026年も輸出拡大は期待できるものの、米国の報復関税や資材不足など外的要因が成長の不確実性を高めている。
