【商業】 世界イベント誘致を強化 タイMICE産業の収益底上げへ
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タイ政府は経済活性化と観光振興を狙い、世界的な展示会・国際会議(MICE)の誘致を一段と強化している。特に東部経済回廊(EEC)地域のインフラ整備を追い風に、新たな開催地を開拓する方針だ。
タイ国際会議展示局(TCEB)のスパワン新総裁によれば、2025年度のMICE収入は1500億バーツ程度にとどまり、目標の1640億バーツを下回る見通し。中国企業などの会議需要減退や世界景気減速が影響しているためだ。
そのため、同局は2026年に5%の収入増を目指し、産業別で最大規模の国際展示会・会議の招致に注力する。すでに「Gastech 2026」(天然ガス・水素・気候技術分野の世界最大級イベント)や「IMF・世銀年次総会」がバンコク開催予定となっている。
EEC地域でもMICE需要を見込み、今後3年間でパタヤ、ラヨーン、チャチュンサオを重点開発地とする。ラヨーン商工会議所会頭は、長らく停滞していた「3空港高速鉄道」が年内着工の見込みであるとして、ウタパオ空港を含む域内アクセス改善に期待を寄せる。さらに米国の対中輸入品40%関税についても「タイ工場は現地調達比率40%以上を確保しており影響は限定的」と話す。
また、観光分野ではラヨーンに長期滞在する北欧系高齢者の増加が顕著となっている。パタヤより生活コストが30%安く、静かな環境が評価されている。ラヨーン県には約300軒、7000室超のホテルが稼働しており、国際ブランドの進出も増えている。
