【製造】倉庫供給過多で賃料の上値抑制続く レディービルト倉庫空室率は17.2%
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タイの倉庫市況が過剰供給の影響を受けて賃料の上値が抑えられている。第3四半期(Q3)のレディービルト倉庫(RBW)在庫は約600万㎡、空室率は17.2%で前四半期の19%から改善したものの、需要の伸びは遅い。新規RBWの供給見送りが改善に寄与したものの、サムットプラカン県では21.5%と高止まり。東部臨海は16.3%、中部は14.2%となった。
25年Q4〜28年Q4にかけて完成予定の5案件のうち4件が工業団地内となる。需要の大半が団地内工場に依存するため、団地外の新規投資は慎重にすべきとの指摘が出ている。
賃料が抑制されている背景としては、①過去3年間の投資増加(中国資本主導)、②EC大手の自前施設化、③物流料金の下押し競争などが挙げられる。団地外RBWでは空室率30〜40%の案件も出ており、撤退事例が供給過多に拍車をかけている。
一方、工業団地の造成済み販売・賃貸区画(SILP)は22万1458ライに達し、販売残区画率は7.13%と前期の8.69%から改善した(1ライは1600平方㍍)。平均地価は1ライ804万バーツ(Q2は787万バーツ)へ上昇し、1万6297ライの新規SILPが建設中だ。団地内での堅調さと団地外の弱さが二極化を生み、立地・用途・契約年限の見極めが重要になっている。団地外新規は退去コスト(原状回復・敷金)まで含めIRRを精査したい。また、中期では関税・対中政策の波及により越境ECの倉庫要件が変わる可能性もある。
なお、主要経済紙も「倉庫供給過多で賃料に抑制圧力」と報じており、第3四半期のSILP在庫・販売残区画率・地価上昇の動きを確認している
