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【投資】海外直接投資9カ月で2.53兆バーツ、BOI経由49%・日本が142件で最多

タイ商務省事業開発局(DBD)は、2025年1〜9月の外国人事業許可・認定が計770件、投資額は計2兆5316億バーツに達したことを明らかにした。内訳は外国人事業許可201件、投資認可(BOI/IEATなど)569件となり、このうちBOI経由が377件・投資額1兆9969億バーツで全体の49%を占めた。

国籍別では日本142件が最多で、米国116件、シンガポール108件、中国99件、香港82件と続く。業種は受託製造、エンジニアリング、ソフト開発、データセンターなどが中心だ。また、EEC(東部経済回廊)には222件/822.64億バーツが集まり、全投資の約3割強を占めた。月次では9月が83件・275.80億バーツで、日本・シンガポール・中国の順になる。

政府広報局(PRD)は今年上期の時点でFBA(外国人事業法)承認社数が対前年比大幅増であったと伝えており、デジタル、EV、クリーンエネルギー、アグリフードといった「未来産業」への政策誘導が奏功しているとみている。足元では、政策的な共同投資枠やサプライチェーン再編が追い風となり、日本・米国・シンガポールのクロスボーダー案件が厚みを増した。

EEC域内では金属・樹脂の受託製造、車体・内装の設計、ソフト・データセンターなどが中心となる。これらはEVや高度部材の地場化、生産工程の自動化・効率化と連動する。加えて、TISO(地域統括・貿易投資支援)の活用により、タイをリージョン・ハブとする再編案件も目立つ。日系では金型・治工具設計や受託組立、エネルギー・安全規格対応の試験サービスなど、既存製造拠点の高度化投資が続いている。

なお、政策面では、内需下支えと投資誘致の両輪が続く。観光てこ入れや家計支援とあわせ、サプライチェーンの誘致策が補完的に効いている。外部環境としては米中摩擦の不確実性が続くが、為替・通関・原材料の多様化を進める企業には、タイの制度・人材・物流のバランスが評価されている。今後の焦点は、ローカル調達比率の要件設計、グリーン電力の入手性、データセンターの電力・排熱規制となる。企業側はBOI区分の適用確認、FBAと関連ライセンスの整理、移転価格・恒久的施設認定への対応を早めに固めたい。

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