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【社会】タイ国民の砂糖消費が5年で57%減 段階的砂糖税政策が奏功か

世界的医学誌「ランセット地域保健・東南アジア」は、タイが過去5年間で国民の砂糖消費量を57%削減したとする報告を発表した。国を挙げた「甘さ控えめ飲料」キャンペーンが大きな成果を上げたと評価している。

タイでは1990年から2018年にかけて甘味飲料の消費量が週1杯未満から週4杯へ急増。肥満者や糖尿病患者が拡大し、国民の医療負担が深刻化していた。

転機となったのは、政府が2017年に導入した段階的砂糖税(特定飲料物品税)だ。糖分量が多い飲料には高い税率を課し、企業に対してレシピ変更を促した。財務省によると、飲料メーカーの約85%が砂糖削減または代替甘味料への転換を進めている。

あわせて、保健省は学校や病院での砂糖飲料販売規制、栄養ラベルの視認性向上、テレビやSNSでの啓発活動を強化し、国民の健康意識を高めている。

一方で、医療関係者は代替甘味料の健康影響を検証する必要を指摘する。糖尿病予防には一定の効果があるものの、過剰摂取が腸内環境に影響を及ぼす可能性があるためだ。また、低所得層ほど税負担が重くなりやすく、政策の公平性も課題となる。

なお、タイ政府は2030年までに国民の糖分摂取量を1日24グラム以下に抑える目標を掲げている。

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