【資源】タイ米希土類MOU 商務相「いつでも終了できるが投資誘致の追い風」
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スパジ商務相は10月27日、米国との希土類資源協力に関する覚書(MOU)について、内閣と国家法制委員会の精査を経た非拘束的な文書であり、法的・財政的な義務は生じないと説明した。双方がいつでも終了でき、排他的権益や投資義務もないと強調した。
同商務相は「知識・技術移転やサプライチェーン構築協力が主眼であり、いずれか一方の大国に与するものではない」と述べた。中国は世界供給の約9割を担うが、今のタイとの取引は小規模であり、将来的な鉱床の確認や採算性評価を見据えた準備段階にある。
将来の鉱物政策と環境規制の両立
タイ政府が最優先に掲げるのは環境保護だ。近隣国での汚染事例を踏まえ、越境汚染への対応や輸入規制、クリーンエア法案などを進める方針を示す。タイ国内で開発する場合は鉱山法と環境影響評価の厳格な適用が前提となる。
一方、貿易政策では、米国との関税協議が継続中だ。米国が求める労働・環境基準や知財保護の強化に対応するには、企業のガバナンスやコスト管理が課題となる。それでも、技術移転や市場アクセスの拡大が投資誘致の追い風となることは間違いない。
同商務相は「国民への説明責任を果たし、柔軟性と交渉力を確保する」と説明。今回のMOUは、米中双方と信頼関係を保ちながら、経済安全保障も見据えた布石となる。
