【デジタル】タイのホテルは半数が需給変動に即応できず 手作業の運営脱却が課題
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ホテル・宿泊業界向けのオンライン流通・収益管理プラットフォームを提供するオーストラリア・シドニー拠点のテクノロジー企業「SiteMinder」は10月27日、「タイのホテル運営企業の48%が市場変化への反応遅れており、週1回以上の収益機会を失っている」との調査結果を発表した。競合価格やイベント開催への追随が遅れ、手作業中心の運営がボトルネックとなっているという。
調査は2025年8月に実施され、67のタイ企業を含む700社超が回答した。96%が「市場に反応する速度の重要性が増した」と認識する一方、25%が月1回以下の価格改定にとどまり、30%は週1回と回答。リアルタイム需要に追いついていない実態が浮き彫りとなった。
イベント需要の取り込みと人材課題
年末開催のSEA Games(12月9日~20日)が予約を押し上げ、客室単価は前年より6%上昇している。タイ国政府観光庁(TAT)は都市部で稼働率が改善しているとしており、インバウンド競争は一段と激化しているようだ。
SiteMinderは「Dynamic Revenue Plus」を発表。リアルタイム分析とAIエンジンを用いた動的価格設定を支援し、中小規模施設でも高度な収益管理を可能にすると訴える。年間1億3000万件超の予約データを活用し、市場の微細な変動を迅速に反映できるという。
導入にはIT投資と専門人材が必要となる。タイ中央銀行(BOT)はサービス産業の労働生産性向上を優先課題と位置づけ、政府にデジタル支援拡充を求める。需給変動に即応し、変化を利益に転換できる体制整備が競争力の鍵となる。
