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【経済】タイ政府、返済不能の小口債務買い取りへ 債務の28%が非正規ローン

タイ政府は、返済不能に陥った小口債務者を対象に総額1220億バーツ規模の債務救済策を実施する方針を決定した。対象は1人当たり10万バーツ以下の債務を抱える延べ340万人。エクニティ財務相は「家計債務問題は国家的課題であり、健全な信用循環の再構築が急務だ」と強調した。

政策の柱は以下の2つ。

  • 銀行などの不良債権を政府系資産管理会社(AMC)2社が買い取り、金利減免や返済条件の緩和を行う。対象となるのは約624億バーツ・236万口座で、即時再編する。
  • 政府系金融機関(SFI)による直接支援で、返済困難者への元金減免や金利全額免除、場合によっては債務を帳消しにする。

中央銀行(BOT)によると、2025年上半期時点の家計債務残高はGDP比86.8%に達しており、総額16兆バーツ超。特に無担保ローンやクレジットカード債務が急増しており、消費の重石となっている。BOTは今回の枠組みを「持続的な負債軽減への第一歩」と位置づける。

タイ政府は今後、非銀行系金融機関への拡大も検討している。エクニティ財務相は「返済可能な条件を設けることで、債務者を再び正規金融システムに戻す」と述べた。BOTも信用情報機関(Credit Bureau)との連携を強化し、再融資支援策を導入する予定だ。 タイ商業会議所大学の調査では、家計債務のうち約28%が闇金など非正規ローンであり、利息が年100%を超える例もある。政府は今回の再編策により、借り手の生活安定と消費回復を両立させる狙いだ。

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