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【車両】ASEANで拡大するEV市場 中国勢が主導、タイは国内生産促進へ軸足

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に拡大している。2025年上半期、ASEAN域内の新車販売に占めるEV比率は約9%に達し、前年からほぼ倍増した。特にタイではEV販売が6万6000台に上り、全体の18%を占める。同分野では、BYD、MG、Great Wallなど中国ブランドが80%超を占め、日本勢が苦戦している。

中国勢の攻勢は価格競争力と豊富な車種展開によるものだ。BYDはバンコク郊外にEV専用工場を建設し、2025年内に年産15万台体制を整える計画。現地生産により関税負担を抑え、価格を内燃車並みに下げる戦略を取る。タイ政府は「EV3.5」政策により、輸入車優遇から国内生産促進へ軸足を移しており、外国メーカーの現地化を後押ししている。

一方、マレーシアでは国産メーカー「プロトン」が中国・吉利汽車と提携し、EV「e.MAS7」を発売。販売台数は上半期で6655台と国内首位となった。既存ブランドへの信頼感が販売を支えているかたちだ。

島国国家であるインドネシアでは充電インフラの整備遅れが課題となっており、1万7000島のうち公共充電拠点を持つのは約3800カ所にとどまる。また、シンガポールではEV登録率が42%に達し、BYDが販売首位。政府は2030年までに6万基の充電器を設置する計画を進める。ASEAN全体では2024年の市場規模78億ドルが、2035年には149億ドルに倍増する見通しだ。

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