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【資源】タイと米国、レアアース供給で協力 新鉱床開発と再利用技術を共同推進

タイ政府と米国政府は、戦略的鉱物資源であるレアアース(希土類)の供給網強化に向けた覚書(MOU)を締結した。アヌティン首相と米商務省代表団の会談で合意されたもので、今後5年間にわたり鉱山開発・再資源化・研究支援を協力して推進する。

タイではナコンパノム、ブリラム、チェンライの3県で新たなレアアース鉱床が確認されており、推定埋蔵量は世界上位10位規模に達する見通し。今回の合意により、米国の技術支援のもと採掘権の共同管理と環境評価が進むことになった。天然資源・環境省は「過去の金属採掘のような汚染を繰り返さないため、採掘から処理まで一体管理を行う」と強調した。

タイ・エネルギー省によれば、タイの希土類鉱物は主にネオジム、ジスプロシウム、テルビウムなど、EVモーターや風力発電機、半導体装置に欠かせないもの。中国依存が高まる中、米国はASEAN諸国との連携を重視しており、タイを「戦略的供給国」と位置づける。

また、タイ工業省はレアアースの再利用技術開発を進めており、2026年までに電子廃棄物からの希土類回収率を現在の12%から25%に引き上げる計画を発表。タイ投資委員会(BOI)はこの分野を新たな投資奨励カテゴリーに追加し、法人税免除5年、輸入機械関税の免除などを適用する方針だ。

今回の協力により、タイは「東南アジアのクリーン資源ハブ」として国際的な位置づけを強めることになる。タイにおけるレアアース分野の投資額は2024年の12億ドルから2030年には45億ドル規模に拡大する見込み。タイ国内の雇用創出効果は2万人超と試算され、EV・電子産業への波及も期待される。

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