【経済】タイ中銀、利下げには慎重姿勢維持 成長鈍化も物価安定を優先
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タイ中央銀行(BOT)は11月1日の金融政策委員会で、政策金利を年2.50%に据え置くことを決定。これで7会合連続の据え置きとなる。市場では成長鈍化を背景に年内の利下げ観測もあったが、BOTは「物価安定と通貨防衛を優先する」として慎重姿勢を崩さなかった。
パオティBOT財務政策局長は「経済成長率は2025年通年で2.7%と予測しており、依然として潜在成長率を下回る」と指摘。輸出の伸び悩みと家計債務の重圧が景気回復の足かせになっている。特に自動車・電子部品の輸出が前年同期比6.3%減と低迷している。
一方でインフレ率は10月時点で1.1%にとどまり、エネルギー価格の安定が寄与した。BOTは「物価上昇が制御下にあることを確認した」としているが、為替変動への警戒は続く。バーツは対ドルで1ドル=37.2バーツ前後と、2024年初頭比で約6%下落している。
BOTは「通貨防衛のため利下げを急げば、資本流出を招くリスクがある」とし、金融緩和には慎重な姿勢を堅持。金融機関には中小企業への貸出拡大を求める一方、過剰債務への警戒を強めている。
政策当局は景気刺激よりも安定重視に舵を切っており、政府が進める消費支援策との政策調整が焦点となる。
経済専門家は「政府が財政拡張で需要を下支えする中、BOTが金利を据え置くのは妥当」と指摘。ただし、2026年にかけて成長の持続性が確認されなければ、利下げ圧力は強まる可能性がある。
