期間限定バンコク週報無料購読キャンペーン実施中

【IT】タイ政府、AI規制枠組み整備急ぐ 透明性・著作権・安全性に重点

タイ政府は、人工知能(AI)の利用拡大に伴うリスク管理のため、包括的なAI規制枠組みの策定に着手した。デジタル経済社会省(DES)は「AI信頼フレームワーク草案」を公表し、2026年までにAI開発・利用に関する統一基準を設ける。草案では、透明性、説明責任、著作権保護、偏り排除、情報セキュリティ、個人データ保護の6つを中核原則とする。

DES省は、AI生成物に関する著作権ルール明確化も進める。創作物の保護と正当な利用範囲を示し、教育・研究用途については柔軟な利用を認める方向だ。著作権局は大規模言語モデルの学習データに関し「透明性を高め、権利者の利益を損なわない仕組みが必要」と指摘する。

さらに、政府はAIの高リスク用途を指定し、医療診断、金融スコアリング、採用選考、重要インフラ管理などを重点監督領域とする。対象分野では人間の監督義務と安全検証の義務化が検討されている。

タイ国内ではAI産業の市場規模が2024年の780億バーツから2028年には2000億バーツに達する見込みで、経済界からは「規制は過度でなく、適切なガードレールを」との声が上がる。タイ商工会議所は、AI活用で労働生産性が最大20%向上するとの試算を示し「ルール整備は国際競争力向上の鍵」と指摘する。

タイ政府は、国家AI戦略に基づき、AI人材育成とGPUインフラ投資も進める。国家スーパーコンピューティングセンター(NCSA)は2025年中にAI専用クラウドを整備し、研究機関・スタートアップに提供する。

このほか、EU AI法、シンガポールAIモデルガイドラインとの整合性を図り、日米欧との相互運用性も確保する予定だ。

この記事がお役に立ちましたら
フォローをお願いします

シェアしていただければ幸いです
目次