【製造】タイ鉱工業生産指数、製造業好調もコロナ前に戻らず 食品加工など下支え
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タイ工業省工業経済局(OIE)は、2025年9月の鉱工業生産指数(MPI)が前年同月比で1.8%増加したと発表した。電気自動車(EV)部品と食品加工が好調で、石油精製・電子部品の減少を補った。ただ、月間指数は98.7で、依然としてパンデミック前水準には戻っていない。
EVバッテリー部品の生産は前年同期比22%増、ワイヤーハーネスは同11%増となった。中国系メーカーによる現地生産拡大と、ASEAN域内供給網の再編が寄与した。一方、半導体関連は世界景気の減速で輸出が鈍り、同8%減となった。
食品加工産業は缶詰食品、冷凍鶏肉、果汁加工が好調で、輸出額は280億バーツと前年同期比15%増。特に中東・南アジア向け需要が伸びた。化学品は同3.9%増で、医薬品原料・化粧品成分への投資が続く。
OIEは「製造業はまだ回復途上だが、輸入代替と国内需要拡大が支えとなる」と指摘。2025年通年のMPI成長率を2.5〜3.0%と見込む。課題として電力コストの上昇と物流費の高止まりが挙げられ、政府は再エネ導入と国鉄貨物輸送の再構築で産業コストの低減を図る。
なお、産業政策の重点は、EV、航空機部品、バイオ化学、スマート電子など「Sカーブ産業」。BOIは2026年までの累積投資インセンティブにより、製造業の高度化を後押しする方針だ。
