【経済】デジタル通貨での決済手段を拡大 タイ中央銀行デジタルバーツ実証へ
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タイ中央銀行(BOT)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタルバーツ」の商用実証を2026年初頭に開始する。第一段階では国内3銀行と主要小売業者が参加し、個人向け少額決済とB2B送金のテストを行う。
BOTのシリチャイ副総裁は「デジタル通貨は現金に代わる支払い手段としてだけでなく、国境を越えた取引コストを大幅に削減する」と指摘する。実証にはバンコック銀行、カシコン銀行、SCBが参加。Visa、Mastercardとの連携も予定されている。
タイはすでにPromptPay(即時送金)やQRコード決済が普及しており、国民のデジタル決済利用率は93%に達する。BOTはこれを踏まえ、CBDCを小売レベルでの決済効率化と経済活動参加を容易にする金融包摂に活用する方針だ。
商業銀行は自社アプリにウォレット機能を統合し、ユーザーはオフライン環境でも取引が可能となる見通し。また、国際送金ではシンガポール、マレーシアとの間でのリアルタイム接続を可能とする予定であり、これはASEAN内でのCBDC相互運用を見据えた枠組みづくりの一環だ。
BOTはプライバシー保護の観点から、取引データを匿名化し、ブロックチェーン監査機能を導入。商業データの漏洩防止を徹底する。
金融専門家は「CBDCはフィンテック企業と銀行の協調を促し、新しい金融エコシステムを形成する」と指摘。CBDC実証はタイ金融システムの転換点となる可能性が高い。
