【IT】TikTok Shop、タイで越境EC拡大 年内に取扱高2倍目指す
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中国系SNS「TikTok」を運営するバイトダンス社は、東南アジア市場での越境EC事業「TikTok Shop」の拡大を本格化させている。タイはインドネシア、ベトナムに次ぐ主要市場で、同社は2025年中に取扱高を100億ドルへと倍増する方針を発表した。
タイではZ世代を中心にショート動画経由の購買が急増しており、TikTok Shopの取扱高は2024年に前年比270%増を記録した。特に美容・ファッション・電子機器の3分野が伸びており、販売者の約45%が中小企業(SME)となる。同社は「SME成長を支える新しい販路として、AIによる需要予測と自動翻訳支援を強化する」としている。
タイ商務省(MOC)は10月、越境EC事業者に対し新たな課税・登録制度を導入。年間取引額が180万バーツを超える業者に対し、VAT登録義務を課す方針を発表した。これにより、税収の透明化と公正競争を促す狙いがある。
一方で、物流面ではタイ郵便公社(Thailand Post)がシンガポール企業J&Tと連携し、TikTok出荷用の専用ルートを整備中である。
調査会社e-Conomy SEAによると、タイの電子商取引市場規模は2025年中に200億ドルを超え、ASEAN全体でインドネシアに次ぐ第2位になる見通し。そして、TikTok Shopは同市場の約17%を占め、ShopeeやLazadaを猛追している。
EC専門家は「TikTokは単なるSNSではなく、広告・販売・決済を統合する“スーパープラットフォーム”へ進化している」と指摘。消費者行動が動画中心に移る中、同社の動向はASEANのEC勢力図を左右する可能性がある。
