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【資源】タイ格安航空Vietjetが「持続可能な航空燃料」導入を開始 最大のハードルは価格高

格安航空会社Vietjet Thailandは、バンコク〜フーコック路線で「持続可能な航空燃料」(SAF)を1%混合した燃料を使用する定期運航を始めた。同社は、タイの格安航空会社(LCC)としてSAFを商業運航に導入した初のケースとなる。

SAFは、植物油や廃食油、バイオマスなどを原料とする燃料で、航空業界が掲げる脱炭素移行において中心的手段とされている。国際民間航空機関(ICAO)が推進する「2050年実質排出ゼロ」目標に向け、各国の航空会社が段階的な導入を進める中、同社は2030年までに全路線で5%のSAF混合率を目指すとした。これにより、6年間で15万トン以上のCO₂削減効果が見込まれている。

今回の導入は混合率1%と小規模だが、SAFは通常の航空燃料A-1の2倍以上の価格であり、低コスト運航を基本とするLCCにとって導入のハードルは高い。Vietjet Thailandは「現状の混合率では運賃へ大きな影響はない」としているが、安定供給確保のため、タイ国営ガソリン販売会社PTT Oil and Retailと覚書締結を進める予定だ。

機材面でも燃費効率向上を進める。同社はボーイング737-8への全面移行を計画しており、既存のエアバスA320と比べて燃料消費を15%以上削減できるとする。しかし、米国政府機関閉鎖の影響で納入が遅れており、初納入機は今年末へずれ込む見通しとなった。これに伴い、バンコク〜成田、バンコク〜大阪など一部便にスケジュール変更が生じており、同社は振替・払戻しで対応している。

航空業界では、SAFの供給量不足と価格の高さが国際的な課題となっている。国際航空運送協会(IATA)によれば、世界のSAF供給は全航空燃料の0.2%未満にとどまり、2030年の普及に向けて生産設備投資と原料確保が必要とのことだ。

タイ政府は、EEC(東部経済回廊)でのバイオ燃料製造事業支援を進めており、SAFを航空産業とバイオ産業双方の成長分野として位置付けている。今回のVietjetの取り組みは、同国が持続可能航空市場の形成を目指す中で、商業運用レベルでの第一歩といえる。

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