期間限定バンコク週報無料購読キャンペーン実施中

【三面】バンコク都内ミンブリ区で無認可クリニック運営の男2人逮捕 保健省が市民に通報呼びかけ

首都圏警察はこのほど、バンコク都ミンブリ区で必要な認可を受けずに2つのクリニックを開設していた容疑で、男2人を逮捕した。市民から「無認可の医療施設が営業している」との通報が寄せられたことから、患者を装った捜査員がクリニックを訪れ、診療行為の有無を確認したうえで経営者らを現行犯逮捕した。

現場となったクリニックからは、診察台や医療用器具、投薬に使用するとみられる薬剤や注射器、患者名が記されたカルテ帳などが押収された。取り調べで2人はいずれも、医師免許証やクリニック開設許可証を提示しなかった。警察と保健当局は診療行為の範囲や期間、過去の患者への健康被害の有無について今後詳しく調べていく方針だ。

タイでクリニックや医療センター、病院を運営するには、保健事業施設法に基づき保健省医療サービス支援局(DHSS)から医療施設としての開設許可と、施設を運営する事業者・医師のライセンスを取得する必要がある。さらに、医師や看護師など医療従事者個人も、それぞれの専門職団体が発行する資格を有していなければならず、無資格で診療行為を行った場合は刑事罰の対象となる。

近年、保健当局と警察は、バンコクやパタヤなど各地で違法医療施設の摘発を相次いで発表。2024年には、医師資格を持たない人物が首都圏で10年以上にわたりクリニックを運営していたとして、保健省が刑事告発に踏み切ったケースも報じられており、無資格診療が社会問題となっていることが浮き彫りになった。

保健省はさらに、外国人労働者向け健康診断を実施していた未認可病院41施設について、発行済みの医療証明書30万件の効力を無効とし、運営者と関与医師に対する法的措置を進めている。 こうした無認可施設の存在は、医療の質の低下や診断書の信頼性失墜につながるだけでなく、感染症の拡大など公衆衛生リスクを高める要因ともなる。

今回のミンブリ区での摘発を受け、保健当局と警察は首都圏全域での医療施設の実態調査を進め、無許可で営業するクリニックの洗い出しを急ぐ方針。住民には、受診の際には施設の許可証掲示や医師のライセンスの有無を確認し、不審な医療行為や過度に安い料金設定を見つけた場合には通報するよう呼びかけている。

この記事がお役に立ちましたら
フォローをお願いします

シェアしていただければ幸いです
目次