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【経済】タイ中華建交50周年で北京展覧会開幕 故宮で文化財228点公開 文化交流強化図る

タイと中国の国交樹立から今年で50年を迎えるのを記念し、北京では11月18日から来年2月24日まで大規模なタイ展覧会が開催されている。会場は紫禁城(故宮)内の主要殿舎の1つである「文華殿」で、タイ文化省が国内各地から選び抜いた文化遺産228点を持ち込み、両国の歴史的つながりと文化交流の歩みを紹介する。

展示ゾーンは「タイと中国の交流史」「信仰と宗教」「宮廷芸術」「現代の伝統芸術」などのテーマ別に構成され、仏像や宮廷調度品、古地図、伝統衣装などが並ぶ。中国側の博物館関係者は、東南アジアの仏教美術と中華文明の影響関係を示す貴重な資料が多数含まれていると説明しており、研究者だけでなく一般市民にとってもタイ文化への理解を深める機会になると期待されている。

この展覧会は、タイ国王ラマ10世夫妻による11月13〜17日の中国国賓訪問と歩調を合わせて企画されたもので、両国の外交関係50周年記念事業のハイライトの1つと位置付けられている。タイ政府の公式発表によれば、国王夫妻は北京到着後、習近平国家主席夫妻と会談し、インフラ投資や観光、教育交流など幅広い分野での協力強化に合意したほか、故宮博物院を訪れ本展覧会のオープニングセレモニーにも出席した。

一方、タイ側では、観光スポーツ省やタイ国政府観光庁(TAT)が、50周年記念ロゴを冠したプロモーションを展開しており、中国からの訪タイ客誘致を狙う。2025年は中国経済の減速もあり、タイへの中国人旅行者数はコロナ前水準を下回っているが、それでも国別では最大の訪問客グループとなっている。こうした中で、文化面での相互理解を深める取り組みは、長期的な観光需要の下支えとなると期待されている。

経済面でも、タイ・中国両国は「一帯一路」構想や東部経済回廊(EEC)開発、デジタル経済での連携を通じて関係を深めている。9月にはバンコク近郊で「Thailand–China Cooperation Expo 2025」が開催され、エネルギー、物流、スマート製造など多様な分野の企業が出展した。今回の北京展覧会は、こうした経済協力を支える文化的土台を厚くする役割も担っている。

観光振興や投資誘致において「ソフトパワー」を重視するタイ政府にとって、世界有数の観光地である故宮で自国文化を体系的に紹介できる意義は大きい。50年の節目に合わせて築いたこの文化回廊を、一過性のイベントに終わらせず、次の半世紀の信頼と交流につなげられるかどうかが問われている。

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