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【政治】タクシン元首相仮釈放に暗雲 矯正局基準全面を見直し 刑期短縮の行方に一層の不透明感

現在服役中のタクシン元首相が仮釈放で刑務所生活を短期で済ますことができるかどうかに先行き不透明感が漂っている。これは仮釈放および関連手続きの基準を全面的に見直すよう矯正局に指示する文書にルタポン法相が11月18日付で署名したためであり、この見直し作業が終わるまで、タクシン元首相の仮釈放スケジュールは白紙に戻った格好だ。

報道によれば、指示書は矯正局長に対し、受刑者の仮釈放、刑の執行猶予、刑務所外への移送などに関する省令・通達・内規を一括して検証し、必要に応じて改正案をまとめるよう求めている。特に高齢者や重病受刑者、政治的に影響力のある人物への特例運用が公正さを損なわないかどうかが焦点とされる。

タクシン元首相はかつて首相として在任中の職権乱用など複数の事件で有罪判決を受け、合計8年の禁錮刑が確定した。その後、2023年8月の帰国直後に収監されたが、同年8月31日に国王恩赦により刑期が1年に減刑され、医療上の理由から警察病院での長期入院措置がとられた経緯がある。さらに2025年9月、最高裁が病室での服役を無効として、1年刑期を実際に服役する判決を示したことで、タクシン元は改めて収監されることになった。

タイの現行規定では、受刑者が仮釈放を申請するには刑期の3分の1以上、少なくとも6カ月を服役していることが条件の1つとされる。さらに、行状が「優秀」「良好」など段階的に評価され、残刑期が一定以下であることも必要。仮釈放申請は委員会が審査し、最終的な決裁は法相が行う。

ただ、今回の基準見直し指示により、タクシン元首相個人に適用される条件がどのようになるのかが不透明になった。ルタポン法相は「特定の個人のためではなく、あらゆる受刑者にとって公平で透明性の高い制度にするための見直しだ」と説明しているが、政界では「事実上の“タクシン条項”になりかねない」との見方が支配的だ。

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