期間限定バンコク週報無料購読キャンペーン実施中

【経済】タイ経済政策委、大型投資案件手続き迅速化と高度人材育成で年内に景気立て直しへ

タイ政府の経済政策委員会は、タイ投資委員会(BOI)が提案した新たな投資促進パッケージ3件を承認した。柱となるのは、大型投資案件の手続き迅速化を図る「Thailand FastPass」、新産業向け技能人材10万人の育成、そしてタイ企業の競争力強化支援である。エクニティ副首相兼財務相は、これらの措置が2025年末にかけて景気を素早く立て直し、将来の成長基盤を築く役割を果たすと強調した。

Thailand FastPassは、データセンター、工業団地、クリーンエネルギー、電子産業など戦略分野の大規模投資案件を対象に、許認可プロセスを特別ルートで処理する仕組みだ。エネルギー規制委員会や電力公社など関係機関をBOIが一元的に束ね、サービス水準合意(SLA)を設けてボトルネックを解消する。2025年12月中のシステム稼働を目指し、承認に要する時間を2〜5割短縮する。

この枠組みの下、BOIはすでに2023〜25年に承認済みだが、電力供給、クリーンエネルギー、土地確保、ビザ・労働許可などの問題で停滞している80件、総額4800億バーツ超の大型案件をパイロットとして選定。政府は、送電網利用の保証金ルールや再エネ電力料金「UGT2」、再エネ電力の直接売買(Direct PPA)の詳細を2025年末までに整備し、データセンター投資向けの電力供給確認書の発行と送電網拡張計画の策定を急ぐ。

土地については、公共事業・都市計画局が工業団地公社やEEC事務局と協力し、2026年3月までに都市計画と地域計画を見直し新産業向け用地を確保する方針。また、環境影響評価(EIA)審査中でも一定条件下で造成工事を進められるよう柔軟な運用ルールを整える。ビザ・労働許可証については、労働省雇用局が2026年1月までに高度人材向けeワークパーミットシステムを安定稼働させるほか、BOIのシングルウィンドウと外務省のeビザを2026年2月までに接続する計画だ。

人材育成策では、新産業のニーズに対応できる高度人材10万人の育成を目標とする。対象は、投資促進認可を2026年1月までに申請した研修センターで、認可後6カ月以内に研修を完了する条件で、アップスキリング・リスキリングを支援する。

この記事がお役に立ちましたら
フォローをお願いします

シェアしていただければ幸いです
目次