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【経済】タイ南部大洪水で被害総額5000億バーツ超 政府が債務猶予・給付拡大など対応急ぐ

タイ南部ソンクラ県などで深刻な洪水が続き、政府は非常事態令を発動して対応を急いでいる。被害額は5000億バーツに達し、影響人口は290万人超と推計される。

エクニティ副首相兼財務相によれば、11月末に首相がソンクラ県を視察し、住宅や店舗の水没状況を確認した結果、家計と中小企業の支援が最優先とされた。支援策は4分野で構成され、債務負担軽減、現金給付、税負担緩和、事業支援が柱となる。最も即効性が高い施策として、国営金融機関による12カ月間の債務返済猶予を実施。元本と金利を0%とし、1人当たりの対象額は最大100万バーツとする。既存借入の追加枠として10万バーツまで無利子貸付を認める制度も導入される。

さらに、中小企業向けには中小企業信用保証公社による保証付きソフトローン枠を設定し、事業継続を支える。財務省は公共サービス勘定(PSA)を活用し、国営金融機関の損失補填を行う考えだ。家計向け支援としては、1世帯当たり9000バーツの現金給付を迅速に支給するほか、地方自治体への緊急予算100万バーツの追加拡大も決まった。

税制面では、個人の住宅や車両修繕費用の所得控除を認め、事業者には洪水で損傷した資産の修繕費を2倍で計上できる措置を導入する。物価高騰を抑えるため、商務省は生活必需品の供給を確保するとともに、大手小売と協力し修繕資材を最大80%値下げするキャンペーンを実施する。

政府は復旧段階での中長期施策も検討しており、スマートシティ導入や防災インフラ強化が議題に上っている。タイ中央銀行(BOT)は洪水のGDPへの影響は0.2%以下にとどまるとの見方を示すが、地域経済への打撃は大きく、長期的な産業回復には投資促進策と雇用維持が不可欠とされる。

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