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【商業】タイ高齢者市場 年内に2.45兆バーツ規模へ 「レンタルおじいさん」などの取り組みも

国家経済社会開発評議会(NESDC)は、高齢者を中心とする「シルバーエコノミー」の総合戦略策定を進めている。高齢者向け商品やサービスを含む市場規模は2025年中に2.45兆バーツへ拡大する見通しであり、タイが高齢社会へ移行する中で新たな成長領域として注目されている。2024年の60歳以上人口は約1400万人で全人口の2割に達しているが、2033年には28%に増え「超高齢社会」入りが確実視される。

NESDCのオンファ事務局長は、高齢者が就労を続け収入を得られる環境整備と、若年層が高齢者関連市場に参入しやすい仕組みが必要だと指摘する。タイ開発研究所(TDRI)の推計では、高齢者の年間支出は2023年の2.18兆バーツから26年に2.58兆バーツへ増え、33年には3.5兆バーツに達する。

NESDCは複数のビジネスモデルを調査。健康な高齢者が配車サービスの運転手として働く「Grab Wai Kao」は参加者が1万人に拡大した。高齢者が経験を生かし交流を提供する「レンタルおじいさん・おばあさん」などの取り組みも広がる。高齢者向け移動支援では、運転手が心肺蘇生(CPR)などの訓練を受けた「Go MAMMA」サービスが5000回以上の利用実績を持つ。旅行・余暇支援分野や高齢者コミュニティづくりを担う社会企業「Young Happy」も6万人以上の会員を抱える。

シルバーエコノミーが今後急速に拡大するとの認識の下、政府は産業育成の仕組みづくりを急ぐ方針だ。オンファ氏は、高齢者ケア関連産業を統括する専門機関の設置が必要だとし、2028〜32年に実施される第14次国家計画に盛り込みたい考えを示す。高齢者の所得は年率3.76%の伸びが見込まれ、33年には8800億バーツに達するとの推計もある。

高齢者支援制度の充実は財務省や保健省も優先課題としており、政府はデータ基盤整備や技能訓練の拡充を進める。急速な人口高齢化を背景に、同市場は今後10年でタイ経済の主要分野となる可能性が高い。

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