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【車両】日本勢のEV攻勢本格化 マツダ6eをタイ市場に投入 中国生産でも独自性維持

タイの電気自動車市場で日本メーカーの動きがようやく本格化してきた。先陣を切ったのはトヨタで、2025年8月にSUV型EV「bZ4X」を発売し、全国約450カ所の販売店とサービス網を通じて量販セグメントに参入した。 続いてピックアップ型EV「ハイラックス・トラヴォe」を投入し、生産計画5000台のうち500台を国内販売、残りを輸出に振り向ける計画だ。

ホンダもすでに小型EV「e:N1」を展開しているが、本命はこれからとみられる。同社は、タイ市場で新型SUV「ゼロSUV(0 SUV)」と「ゼロアルファ(0 Alpha)」を販売する方針を公表している。両モデルは現在プロトタイプ段階で2025年のジャパン・モビリティ・ショーで披露されたばかり。ゼロアルファは世界初公開モデルであり、ホンダがタイ市場に強い期待を寄せていることがうかがえる。さらに高性能小型車「スーパー・ワン」の投入も検討中だ。

こうした中、マツダが第42回タイランド・インターナショナル・モーターエキスポ2025で初の量産EV「Mazda 6e」をタイでお披露目し、事前予約を受け付けた。 Mazda 6eは5ドアの「ネオ・ファストバック」と位置づけられるスポーティなセダンで、デザインコンセプト「New Era of Design and Utility」と、魂動デザイン「Kodo-Soul of Motion」を組み合わせ、これまでのマツダ車が持つ走りの楽しさと一体感を電動車でも表現したとされる。

Mazda 6eはスタンダードレンジとロングレンジの2グレード構成とされており、後輪駆動の単一モーターで0〜100km/h加速は7秒台、航続距離は500〜600キロ前後。タイで展示された仕様では、容量77.9kWhのリチウムイオン電池を搭載し、NEDC基準で最大654kmの走行が可能とされるほか、出力200kW級のDC急速充電器を用いれば30〜80%まで約15分で充電できるとしている。

もっとも、Mazda 6eは中国自動車大手・長安汽車との合弁による「長安マツダ自動車」の南京工場で生産される計画であり、「中国生産のEVでマツダらしさを保てるのか」とする懸念の声も出ている。ただ、マツダは、長安側から供給を受けるのは電池とモーターに限られ、シャシーやサスペンション、操舵系、車両制御ソフトなど走りの味を決める領域はマツダが主導すると強調。長年培ってきた「人馬一体」の走行フィールを電動時代でも維持することで、ブランドのDNAは揺らがないとする強いメッセージを送っている。

タイ市場を統括するマツダセールス(タイランド)のティー・プームポンパンCEOは、「Mazda 6eは単なる電動化ではなく、走る楽しさや人を中心に据えた開発思想など、マツダらしさを全方位で体現した1台だ」と話す。予約客には7万バーツ相当の特典をセットにした「Mazda 6e Premiere Package」を用意。2万バーツの値引きに加え、10年間のメンテナンスパッケージ「Electric Mazda Care」などを提供する。

日本勢はこれまで、タイのEV市場で中国や韓国勢に出遅れたとの見方が根強かった。しかし、トヨタ、ホンダに続きマツダも量産EVを具体的な商品として打ち出したことで、今後は日本ブランドのEVが本格的に出そろう公算が大きくなってきた。

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