【経済】タイ中銀が外貨還流義務を緩和へ 過度なバーツ高圧力の抑制狙う
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タイ中央銀行(BOT)は、バーツ相場の変動圧力を和らげるため、企業が海外で得た収入をタイへ送金する際の還流義務基準を引き上げる提案を財務省に行った。還流義務の対象となる取引額を現行の1億ドルから10億ドルへ変更する案で、年内の施行を見込む。外貨流動性の運用自由度を高め、輸出企業や多国籍企業が為替管理を行いやすくするのが狙いだ。
足元のバーツは対ドルで1%ほど上昇したが、これは米金融政策見通しの変化によるドル安が主な用意。加えて輸出企業のドル売りや債券流入、金取引業者の外貨売却も、バーツ高を後押しした。BOTは市場の短期資金の偏りが急激な通貨変動を招く可能性を懸念しており、今回の措置により過度なボラティリティ抑制を期待する。
また、中銀は金の輸出入に伴う外貨取引の審査強化を金融機関に求め、主要金取扱企業に対しても取引報告を義務付けるよう財務省に提案した。金市場は取引規模が大きく、短期的な資金移動が為替を動かしやすい。取引の透明性向上により、為替市場の安定を図る。BOTは市場の不確実性が高まっていると分析し、急激な変動には適切な措置を行うと明言する。
国際通貨基金(IMF)は、タイの外貨準備2620億ドルは十分な水準にあると評価しているが、輸出依存度が高い構造は変わらず、為替安定は企業活動に直結する課題となる。
