【不動産】タイ住宅開発大手が賃貸購入型物件を拡大 低調な住宅市場に新たな手法
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住宅開発大手SC Assetは、住宅ローン審査が厳しくなり購買力が弱まる中、賃貸から購入に切り替えられる「レント・トゥ・オウン」方式の導入を拡大している。景気減速を背景に、購入を迷う層やローン承認を得られない層が増えており、同社は顧客行動の変化に合わせた柔軟な販売手法が不可欠だとしている。
ナッタポンCEOは、住宅選びの基準は立地や設備など生活側の要素が重視されるようになり、金融面だけで判断されない傾向が強まったと説明。レント・トゥ・オウンは、家賃として支払った金額を数年後に住宅購入費に充当できる仕組みで、購入意欲のある入居者に対する短期的な救済策となる。財務基盤が比較的強いデベロッパーは、この方式を導入しても資金繰りへの影響を抑えられる。
SC Assetは今後、居住者と購入者の属性が異なる市場構造が進むとみており、賃貸需要の増加を織り込んだ事業展開を進める。若年層、とりわけZ世代は購入より賃貸を選ぶ割合が高く、同社は賃貸物件を一定期間保有した後、投資家に売却するモデルを採用する計画だ。
販売戦略の転換として、プロジェクト開始時点でモデルハウスを販売する取り組みも始めた。ノンタブリ県の高級住宅「グランド・バンコク・ブールバード ドンムアン-チェーンワッタナ」では、1億バーツのモデルハウスがインフルエンサーによって即時契約された。モデルハウス売却は、住宅ローンを内装費込みで一括化できる利点があり、購入者の資金調達負担を軽減する効果がある。
景気低迷で住宅供給も減少しており、銀行は開発プロジェクトへの融資に慎重姿勢を続ける。GDP成長率が2%前後にとどまる中、市場の回復は2028年とみる向きも多い。
