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【IT】デルタ、25~26年も2桁成長へ AI電源とデータセンター事業投資を追い風に

電源機器メーカーのデルタ・エレクトロニクス(タイ)は、米国による輸入関税やAIバブル懸念がくすぶるなかでも、2025~26年の売上高について2年連続の2桁成長を見込んでいる。ビクター・チェン社長は、タイはデータセンターと電動化需要の拡大を取り込む上で最も重要な生産拠点の一つだとして、生産能力と研究開発の両面で拡張を続ける考えを示した。同社の2025年1~9月期売上高は前年同期比24%増と好調で、とりわけAIサーバー向け電源や冷却設備などデータセンター関連製品が業績を牽引した。

投資委員会(BOI)はデータセンターやクラウドサービスを戦略分野に位置づけており、2025年1~9月のデジタル分野投資申請は119件、総投資額は約6128億バーツに達したと発表している。調査機関は、国内データセンター産業の売上高が2025~27年に年平均7.5~8.5%成長すると予測し、電力インフラや高効率冷却システムの需要拡大が続くとみている。

デルタはバンポー工業団地で新工場とR&Dセンターを稼働させ、電力変換機器や産業用電子部品のタイ生産比率を高めることで、地域サプライチェーンの中核としての役割を強化。さらに地場サプライヤーとのマッチングイベントを通じて、電源部品や金属加工などの現地調達を広げている。同社は電源モジュールや冷却ソリューションを世界各地に供給しており、タイ拠点で生産した製品はASEANだけでなく日本や欧米向けにも輸出される。

一方で、世界景気減速や貿易摩擦が長期化すれば成長シナリオの下振れリスクも残る。AWSやグーグル、TikTokなど世界大手によるタイでのデータセンター投資計画が相次ぐなか、同社がどこまで需要を取り込み、電力効率や信頼性で差別化できるかが、日系企業を含む利用者のコストと脱炭素戦略を左右しそうだ。

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