【政治】タイ軍がスリン県の寺院奪還も損傷酷く ハーグ条約違反のカンボジアに砲撃の即時停止要請
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タイ軍は週明け、カンボジア国境に近いスリン県パノムドンラック郡のクメール遺跡「タクワイ寺院」を奪還した。国境での衝突で寺院が損傷しており、当局は復旧計画の策定に入る。
陸軍報道官のウィンタイ少将は記者会見で、タイ軍が寺院からカンボジア部隊を排除したと報告。カンボジア側は約1週間前に戦闘が再燃した際、寺院を軍事拠点として使用していた。タイ軍は周辺の丘も確保したが、カンボジア側が奪還を狙って重火器を展開しているとされ、現地は不安定な状況が続く。
文化財担当のプノムブートラ氏は、復旧は可能であり、復元は可能な限り原部材を用いて組み上げる「アナスティローシス」で行うと説明した。タイ側はブリラム県のパノムルン寺院やナコンラチャシマ県のピマーイ遺跡など、より大規模で複雑なクメール寺院の修復実績があるとして、元の姿に戻せるとの見方を示した。
一方、タイ外務省のマラティ副報道官は、カンボジア側が考古遺跡を司令拠点として利用した証拠が集まったと報告。古代遺跡の軍事利用は1954年のハーグ条約に定められた「武力紛争時の文化財保護規定」に反するとして即時戦闘停止を求めた。同条約は締約国に、文化財の軍事目的での使用や文化財に対する敵対行為を避けることなどを求めている。
