【経済】11月の工業信頼感指数が前月上回る 南部洪水・国境紛争・バーツ高など不安要因山積み
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タイ工業連盟(FTI)は11月の工業信頼感指数が89.1となり、10月の87.3から上昇したと発表した。政府の消費刺激策が食料・日用品の需要を下支えし、観光のハイシーズン入りで関連産業も持ち直した。年末商戦に向けた増産も寄与した。輸出では政府間取引(G2G)で中国向けコメ50万トン、シンガポール向け10万トンの交渉が進み、地方の所得改善につながるとの見方もある。
もっともマイナス要因は重い。南部洪水は工場と家屋に広範な被害を与え、12月の損失を200億〜300億バーツ、2026年通年では900億バーツ規模と試算する。カンボジアとの国境対立長期化は国境貿易を冷やし、輸入増も国内企業を圧迫する。1〜10月の輸入は前年同期比16.3%増で、電子回路28.69%増、プラスチック製品14.33%増、鉄鋼8.23%増と競争が強まった。バーツは域内で強く年初来5.77%高となり、輸出採算を削る。
FTIは洪水被災企業への保険金迅速払い、機械修繕基金や0%融資、土地建物税の免除を提案。水管理を国家課題として排水路整備や予報・警報の高度化、災害対応体制と都市計画の見直しも求める。また再エネ電力を発電事業者と需要家が直接契約する「Direct PPA」について、国家エネルギー政策委員会(NEPC)がデータセンター向けに試行導入している点を踏まえ、産業全体へ拡大して選択肢を増やすべきだとした。
