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【経済】タイ個人向け貯蓄国債を月次発行へ 2026年開始で投資家層の裾野拡大狙う

タイ財務省傘下の公的債務管理庁(PDMO)は2026年から、個人向け貯蓄国債を毎月発行する新制度を始める。制度名は「Savings Bond Plus」で、国民の貯蓄促進を目的とする。2025年度の貯蓄国債発行枠300億バーツのうち、120億バーツを同制度に充て、月10億バーツずつ発行する計画だ。最小購入単位は1口1000バーツで、購入上限は設けないが、小口投資家を優先する仕組みを適用する。

PDMOによると、国債投資家の約95%は銀行や社会保障基金、保険会社など機関投資家で、個人は約5%の17万口座にとどまる。個人の約60%が60歳以上で、働き盛り世代は約30%に限られる。新制度は低金利預金に代わる長期の運用先を提示し、個人層の裾野拡大を狙う。販売は銀行・証券会社に加えオンラインも想定する。
流動性の課題にも手を打ち、取引が証券取引所のStreamingシステムで処理される場合の換金を容易にする。ただしStreamingアプリでの償還は2026年7月からで、当初は段階導入となる。利率など条件は2026年1月に公表予定で、PDMOは少額から購入機会を増やす点を強調する。議会解散で暫定政権下にあっても、政府の正式計画に組み込まれているため継続するとした。

家計資金が国債へ分散すれば、銀行預金の競争や金利形成にも波及する可能性がある。購入は「小口先着」を基本に、少額投資家の配分を確保する。PDMOは個人投資家を増やし、債券市場を預金偏重から多様化させる狙いで、今後は販売窓口の拡大と手続き簡素化を進めるとしている。なお、タイで人件費上昇が続く中、従業員の資産形成ニーズを捉える商品として企業側の情報提供も重要になりそうだ。

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