【製造】タイ工業生産指数 9月は94.56 自動車と電子が牽引し1.0%増、内需回復の兆し

タイ政府は12月の閣議で、工業省傘下の工業経済局(OIE)がまとめた2025年9月の工業経済報告を確認した。製造業の動きを示す工業生産指数(MPI)は94.56と前年同月比で1.0%上昇し、設備稼働率も60.61%に達した。製造出荷額に当たる工業収入は前年同月比6.3%増の5349億2703万バーツとなり、緩やかな持ち直しを示した。
増加を支えたのは自動車、石油精製、電子部品だ。自動車製造は5.6%伸び、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)への需要増に加え、期末の販促が追い風となった。石油精製は3.6%増で、航空燃料や軽油、ガソホールの需要が押し上げた。電子部品・プリント基板関連が9.4%増と高い伸びを示し、完成品電子機器の需要増、とくにPCBA(基板実装品)の増産が寄与した。
一方、減少業種も目立つ。エアコンはタイ国内購買力の鈍化と輸入品との競争で23.0%減。コーヒー・茶・ハーブ粉末は大手の生産停止と代替輸入の影響で85.2%減となった。コンクリート製品も不動産と建設の減速を背景に8.0%減であった。
内需面では新車販売が20.7%増えたが、貿易は輸出が82億5052万ドル(11.1%増)、輸入が111億3212万ドル(12.5%増)で、赤字は28億8160万ドルと16.6%拡大した。OIEは、MPIは国内需要と輸出の一部回復を映す一方、品目間の差は大きいとし、政策立案の基礎データとして動向を点検するとしている。 MPIは製品の生産量を指数化した指標で、製造業の景況を測るものとして注目度が高い。稼働率が60%台にとどまっていることは供給余力を意味しており、内外需の回復が続くかが今後の焦点となる。政府は同報告を踏まえ、産業の競争力強化と投資誘致に向け、景気刺激と構造転換を同時に進める方針だ。
